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香織は、
地面に落ちている彼の鞄を
拾い上げて震える手で渡した。
「あの…ありがとうございました。
助けてもらって」
絡まれている香織を助けてくれた
名も知らない彼。
無言で
鞄を受け取ると
肩に担いで
彼は歩いていく。
それ以上、何も言えずに
見送っていると
不意に彼が振り返った。
「おい、行くぞ。
ぼんやりしてっとまた絡まれるぞ」
「え? あ、はい」
香織は、訳が分からないまま頷き
彼の後をついていった。
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