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冬休み前の試験休み。
クリスマスの前のワクワクな時。
やってしまった。
ちゃんと自覚してる、こうなったのも自分のせいな事もちゃんとわかってる。
「あぁーーー、帰りたーーい!!!」
つい、口をついてそんな言葉が出た瞬間に頬っぺたに痛みが走る。
「いたひ!!へんへーーい、いたひーーー!」
下フレームしかない眼鏡の奥に光が揺れた。
「いや、お前が悪いんだろ。」
綺麗な顔で正論を口にする。
『ああ、この顔だな。』
友達がキャーキャー騒ぐ、この顔。隠れファンクラブがあるとかないとかそんな噂も聞く。
「だって、試験休みだよー!みんな休んでるんだよー!」
「そうだな、みんな休んでるんだよ。顧問がない先生方も自分の仕事が終わったらそれでおしまい。わかるよな。」
先生の口角が上がる。
「……ご、ごめんなさい…。補習授業の手間を取らせてしまってごめんなさい。」
『わかればいい。』
そんなことをいいながら、グシャッと頭を撫でられた。
この人は、天然たらしでわないかとついつい悪態をつきそうになる。
「てか、本当にどうした。古文苦手じゃないだろお前。」
「うん、嫌いじゃないんだけどさー。なんか考えたら訳がわからなくなってきちゃって。」
「何がわからなかった?」
「いや、この人の恋心なんて私にはわからないなぁーって思ってさ。そうしたら、一番最初の問題で躓いて…目をつぶりながら妄想に耽って…。」
「寝たと…。」
その言葉に、コクリと頷いた。
「恋心なんて、お前たちが好きなやつだろ…いつも、キャーキャー騒いでるだろ!」
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