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「ヒカリのお母さんを思う気持ちはそんなモノなの?僕にあんなに真剣な眼差しで話していたのに、少し悪いことするだけで、その気持ちを諦められるの?ヒカリの今の思いは本当なのか!」
さっきより断然大きく少し怒りの感情も込めて言った。
1秒ほど間を置き佳輝は自分が言ったこと、ヒカリの目元から流れ落ちる涙を見て、自分の愚かさと本能的な自分を守ろうとする弱さに葛藤した。
「・・決まってる。・・決まってるよ!大事な人を失いたくないよ!!・・佳輝君・・ありがとう。・・やろう。」
ヒカリもまた罪悪感と母親を失いたくない気持ちで葛藤していた。
「ヒカリちゃん!実はね僕も話があるんだ!」
佳輝はこの重い雰囲気を少しでも軽くするため話し始めた。
「えーと、見て欲しい物があって・・。これなんだけど・・。」
事前に背中の後ろに隠していた指輪を見せる。
「・・あっ!覚えてるよ!春の工作大会でヨシ君の指輪のアクセサリーが全クラス一番の票を集めて優秀賞に選ばれたんだったよね!凄く綺麗な指輪だったよ!」
「あっうん。あ・・ありがとう・・。そ、それでね!実はあれ二つあって・・その、ひ、一つはヒカリちゃんに・・と思って・・はい!」
顔を真っ赤にしながらヒカリとは目を合わせず、陶器とカットした美しい硝子の宝石で作られた素人目に見てもかなり綺麗な仕上がりの指輪をヒカリの目の前に差し出した。
「えっ?本当にもらっていいの?」
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