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ヒカリは目に飛び込む全てに驚いた。本や陶器、世界中の民芸品など多種多様な物にまるで世界一周しているかのような感覚に堕ちいった。比較的小物は直に床に置いてある。と言っても山積みになっている本等でショーケース等は置く場所が無く実際ない。あったのは物置としてなのか商品なのか定かではないが部屋の角に桐箪笥が佇んでいた。しかし桐箪笥の前にも山積みの本が散らかっている。
(この部屋から感じる!わかる!必ずここにある!)
呆気に取られていたヒカリだったがすぐ部屋から感じる気配に思考を切り替えた。
「ひ、ヒカリちゃん?ぼ、僕も入れて!」
少し間があったので佳輝は置いていかれたような気分だった。
「あっゴミン・・!ついビックリしちゃって。」
佳輝の声に我に帰ったヒカリはまたしても甘えたように謝った。
部屋から窓の高さはおよそ90cm程。ヒカリが背伸びをすれば手を垂らすことは容易であった。
「よっっと。」
佳輝もようやく部屋に入る。
同じく広がる光景に目を奪われたが、ヒカリが本を探そうとするのを見て、直ぐ様切り替えた。
「ヨシ君反対側お願い!」
ヒカリは転がる本を一つ一つ手に取り精査しながら佳輝にお願いした。
「あっうん。任せて!」
佳輝はヒカリとは反対側の本の数々に手を取った。
ーー
ーーー
時はほんの少し戻り、佳輝が窓を開けた時、骨董店の2階では冬馬が和室で畳の上に直に、そしてバスタオルを掛けただけで寝ていた。
「~~むにゃ・・・・っ!」
冬馬は何かに気付いたかのようにガバッと起き上がる。
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