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その時、佳輝から言葉が漏れる。
「この・・指輪。ヒ・・ヒカ・・リちゃん・・?」
佳輝は指輪を見つめ、絞り出すかのように声を出した。
これに冬馬は耳を疑った。佳輝にもう一度聞く。
「い・・今なんて?」
「・・そ・・そうだ!ヒカリちゃん!ヒカリちゃんを助けないとっ!」
忘れていた記憶取り戻す佳輝。
「ヒカリ・・ちゃん?まさか、あの子がっ!」
冬馬は本が持ち出された事と昼の出来事で曖昧だった記憶がジグソーピースを嵌めるかのように元に戻った。しかし、新たな疑問が浮上する。
(でも何故?・・本を封印していた木箱は俺以外開ける事が出来ないはず。第一あの箱に本が入っていることすら分からないはず。運良くこの木箱に目星を付けても俺が持つ鍵がなければ開かない。・・ってこんなこと考えている場合じゃない!ヒカリちゃんが向こうに渡航したのは佳輝君の証言と桐箪笥の門が開いている事が物語っている!急がなければヒカリちゃんが危ない!)
冬馬の中で一刻の猶予も無いことが確信に変わる。
「佳輝君!この店に忍び込んだ理由はヒカリちゃんと言う言葉を聞いて大体理解出来たよ。ここからは僕に任せて佳輝君は家に帰るんだ!僕がヒカリちゃんを助けられる事を祈っていて!いいね!」
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