1話【出会い】

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「・・・え・えーっとね。さっきは嘘ついてゴメンね!なんでも取り揃えてるって言ったけど、お客様が要望している本は無いんだ。本当にゴメンね!ま・・魔法使いの話の絵本ならたしかこの辺に・・・・」 冬馬が本棚の比較的新しい部類の絵本欄を必死に探していると、 「・・嘘つき。。」 少女が小声で呟いた。 「っえ?」 冬馬が焦った様子で聞き返す。 「嘘つき!」 今度は大声で怒鳴った。 冬馬はビックリした表情で立ちすくむが直ぐ少女に駆け寄り声をかける。 「ゴメンね!でも本当に無いんだ。。なんでもあるって言ったのは謝るから。ね。」 子供の扱いに馴れていない冬馬はたどたどしく慰めようとした。 「・・あるもん。」 少女は小声で呟く。 「お母さんがここにあるって言ったもん!無いなんて嘘!絶対にあるんだもん!」 冬馬は少女から溢れんばかりの気迫に気圧されそうになる。 「・・で、でもお母さんが間違ってるって事も・・。」 「間違ってなんかないもん!お母さんを助けられるのはヒカリしかいないもん!だから魔法使いならなきゃいけないんだもん!」 少女から涙混じりに発せられる声に冬馬は完全に気圧されてしまった。 「・・わ、わかった。も、もしかしたらおにいさんが知らないだけで、入荷してたかもしれないから・・ちょっと待っててね・・!」 そう言って冬馬は先程の倉庫部屋に入る。 ーー     
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