1話【出会い】

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1話【出会い】

ーー「ああ・・アキナ・・貴方はワタシのモノ・・きっとアナタは・・またワタシの元へ・・来るわ・・フフフ・・」ーー ー ーー ーーー ーーーー 夏の暑い日差しが、トタンの雨よけの隙間から差し込むーー商店街に並ぶお店の中に狭く小さい、そして古い骨董店があった。 ー ーー ーーー 「よっこいせ!っとぉ・・。それにしても暑ぃなぁー。」 持っていた大量の本を下ろし少し間の抜けたような彼は安達冬馬(あだちとうま)(29)この店の店主である。 「俺一人で夏の商品入れ替え作業はキツイわ。。夏だけでも従業員雇うか?・・・・ってまぁここの激安家賃も払えないくらい切羽詰まってんのに無理か、はは。。」 そう、この骨董店には多い日で3人程度、月の半分は客が来ないのは当たり前なのだ。冬馬の祖父が残したこの店を両親を事故で亡くした冬馬が後継ぎとして引き継いだのだが、経営者としての経験がない為四苦八苦。少し前に客が数十人来たときは、雪崩れ込む客に冬馬は客ではなく殺人鬼に見えて驚いた程だ。少し小心者である。     
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