episode ⅡⅩⅢ

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 忠告されている当の本人は、「あぁ」と、こちらも気の無い返事をして、両脇を佐久間と橋爪に支えられながら、「それでは私達はこれから今後についての打ち合わせがあるので」と、ビシッと敬礼して立ち去る茂松の後について立ち去って行った。  余程のショックを受けなければ、あそこまで人間、変わる事は無いよな……と、神崎の背中を見送っていると、本郷に声を掛けられた。 「とりあえず、俺が持ってきた箱ん中に、必要な機材が入っている。さっきの図面の中に配線やそれぞれのシステムサーバーの位置情報とかも細かく記載されていただろう? この島にもネット回線は引かれてあるが、それよりも確実に短時間で研究所のシステムに侵入するなら、直接ターゲットサーバーにアクセスする方がいいだろう」  どうやらここは、『仕事』は『仕事』を割り切って、今はタカシのことよりも、研究所のシステムセキュリティを止める方に頭を切り替えたようだ。  多分、直接研究所のシステムサーバーに入り込んだ後は、こちらのいかようにでも操ることが出来る。  そうなれば、本郷の力はなくとも、洋一郎一人でシステムセキュリティに関しては任せられると踏んでの策だろう。  そうすることで、本郷は、自らも反逆軍達と研究所に行き、タカシと最後の対面を果たそうっていう魂胆なのは見え見えだ。  やはり、本郷は口は悪いし、態度はデカイが、情に熱い人だっていうのが一緒にいてよく分かる。  その情の熱さが後々、彼を苦しめる事にならなければいいけれど……などと、他人の事を心配している場合でもない。 「本郷さん。それよりも先に、克也達に、こちらの状況を連絡しないと!」  状況はここに来て、急展開。  こっちに移動してきてもらうにしろ、飛行場から鶴岡さんの操縦で一足早く、この島から脱出してもらうにしろ、兎に角、彼らに連絡する方が先だ。
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