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「僕の勝手な憶測ですが、政府機密情報システムの一件で僕まで辿り着いた人は、本郷さん。貴方ですよね?」
「……」
「まず、両手首の内側。小指から下に降りて来た位置にある骨の上あたりに黒ずんだ痣が出来ている。それに右手人差し指が変形性指関節症になっています。これは、常にPCを使っている証拠。頭の回転がよく、洞察力にも優れているというのに、少々捻くれた性格……いえ、物事の裏まで見ようとする好奇心旺盛さから考えると、貴方しか考えられない」
「褒められてるんだか貶されてるんだかわかんねぇな」
「大丈夫です。褒めています」
「はぁ。頭のいい奴ってぇのは、何もかも見透かしていそうでコエェな」
厭味っぽく言った台詞は明らかに肯定を示している。
「いいえ。僕にだって分からないことだらけですよ。何故、ここにスナイパーやらロッククライマー兼ナイフだか棒使いの両利き女性がいるのかは皆目見当もつきませんから」
「なっ!」
「ヒュウッ」
ズバリ言い当ててしまったらしく、驚きのあまり絶句するタカシと、「やるじゃん」とでもいうように晴香が口笛を鳴らす。
「どこで気がついた?」
ワクワクした口調で問いかける彼女に、別に大したことではないといった風に答える。
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