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「間違いなく、じいちゃんだった」
ハッキリと言い切った後、ギュッと唇を引き締めた。
そうしないと、視覚的に受けた悍ましい刺激が脳内を支配し、思わず叫び出してしまいそうな衝動に駆られるからだ。
なんで『paraiso』に収容され、静かで穏やかな生活を送っている筈の祖父が戦地にいるのか?
なんで、あんなモノを撮影しているのか?
それよりも――あの“兵士”達は、一体、何者――いや、一体なんなんだ?
頭の中にクエスチョンマークばかりが飛び交い、膨張し、パンクしそうになる。
何度撃たれても、どんなに肉体がボロボロになろうとも這い上がり続ける“兵士”の姿が、瞼どころか、脳に焼き付いて離れない。
あれは、どう見たって――
「死んでいたよな?」
困惑し、固まっている俺の頭の中が見えるのか、今まさに考えていたことを洋一郎が口にした。
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