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水を打ったかのようにシンッと静まり返る室内。
少しの間、沈黙が続く。
緊迫した空気が三人の間に流れる。
ゴクリと誰かが喉を鳴らす音が響いた。
「過去に某国で、薬物中毒から人格が崩壊し、凶暴化した事件があるんだが、その時、その凶暴化した人間は何をしたと思う?」
興奮し、息を荒くしていた洋一郎は、何度か大きな呼吸を繰り返し、息を整え落ち着きを取り戻すと、いつもの静かな口調でそう述べた。
「ナイフで近くにいた人間を滅多刺し……とか?」
恐る恐る大介が言うと、酷く冷めた表情で左右に首を振った。
「友人の顔面にかぶりついたのさ」
「ひっ!」
思わず想像してしまったのだろう。
大介が小さな悲鳴を上げた。
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