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洋一郎が言いたいことを、俺は理解した。
当然、これが世間一般に広まったら、それこそ軍事問題や社会問題どころか、人権問題……いいや。
人としての尊厳に関わる問題として、世界中から非難される事である。
そう考えると、常軌を逸したあの光景を説明する内容としては、合点がいく。
だが。
しかし、だ。
それが、何故『paraiso』と関係があるんだ?
しかも……何故、あそこに。
あの紛争地域に、“じいちゃん”がいるんだ?
まさか――
俺は怯えた顔をした大介と、酷く冷静な洋一郎。
そのあまりに対照的な二人の顔を、焦りにも似た妙な胸騒ぎを感じながら見つめた後、震える唇を動かした。
「じいちゃん……実験に関わっているのか?」
口内に渇きを覚えながら、掠れた声を出した。
祖父は、国防軍に勤務していた訳でも、軍事関係に携わった事も無い。
定年までは、大手ゼネコン勤務の単なるサラリーマンだったと聞いている。
人と違うところと言えば、狩猟免許を取得し、猟銃や罠を使って、猟友会の人達と狩猟を楽しみ、射撃訓練をする事。
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