238人が本棚に入れています
本棚に追加
そしてもう一つ。
あの年で、未だに空手の鍛錬も忘れず、最高師範ですら唸るほどの腕前だと言う事ぐらいだ。
いくら武道に長けているとはいえ、いきなり戦場に行って、役に立つものなのか?
国家機密レベルの実験に携われるものなのか?
全ての鍵は『paraiso』にある。
あの施設に収容されたら、出来得る就労の義務はあれど、それ以外では『楽園』のような老後が約束されている筈。
もしも、祖父に課せられた就労という物が、この『実験』を撮影することであったとするならば、場所が場所だけに危険すぎる。
まったくもって『楽園』とは言い難い『paraiso』の中に隠された真実のひとかけらを目の当りにした俺は、額から流れる汗を感じながらも二人がいる事も忘れ、ブツブツと独り言を呟きながら無い頭をフル回転させていた。
最初のコメントを投稿しよう!