港町の天下無双

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「うるせぇ奴らだな。おめぇらが誰か知らねぇがよ、売られた喧嘩は買うのが俺よ。このゼルベルト・クリーガーに文句がある奴は遠慮はいらねぇ。掛かってきやがれ!」  辺境育ちのゼルベルトだが、辺境の常識と外の世界の常識の違いくらいは知っている。完璧というには程遠いが、それなりの知識くらいは持っているのだ。例えば、自分たちが異常に強いということ。ただし、どのくらいの差があるのかについてまでは想像をするしかなかった。たった今、それを実感として知ることの出来るチャンスが訪れていた。戦いにかけては一端の男であるゼルベルトは、もちろんこのチャンスを逃すつもりはない。 「いい気勢だぜ、若いの。俺はボーデヴィン。デカイ口を叩いたんだ、覚悟は出来てるよ、なっ!」  太く日に焼けた腕から繰り出された拳を、椅子に座ったまま、まともに頬に受けて吹っ飛ぶゼルベルト。椅子をなぎ倒しながら倒れこむ。 「けっ、なんだよ、口ほどにもねぇ奴だな。もう終わりか?」 「おい、ボーデヴィン! ちっとは手加減してやったらどうだ。がははっ」  囃し立てる声を気にせず、むくっと起き上がるゼルベルトは、そのままボーデヴィンの拳を何度か受ける。 「意外にタフだが気持ちの悪い野郎だぜ。ボーデヴィン、さっさとぶっ倒しちまえ!」     
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