港町の天下無双

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 しかも若い女たちは、色っぽい衣装で街角に立っているのだ。夢か幻かと思うのも仕方がないだろう。視線を送ってくるのは、彼には縁がなかった同年代の若い女たちなのだから。 「なんなんだ、これはよ。……マジかよ」  積極的に近づいてきた一人の女がゼルベルトの腕を捕まえると、胸に押し付けるようにして腕を組んできた。最強の魔獣を目の前にしても怯むことのない男が緊張に硬直した。  そのままふらふらと、誘われるままに付いていくゼルベルト。硬くなった体も甘い香りに解きほぐされていく。だらしのない顔をしながら引かれる腕をニヤニヤしながら見つめると、今度は積極的にボディタッチを開始した。ゼルベルトが大陸に辿り着いた最初の夜は、そのまま薄着の女と一緒に夜の町に消えていって終わったのだった。  年頃の若い女。ゼルベルトたち、辺境の若者が求めてやまない究極の宝。それがなんと、自ら誘ってきたではないか。多少の金は掛かるが、その程度なんだというのか。  まだ若いといっても、相手もプロの女である。だが、ゼルベルトは辺境の女神と幾たびの激戦を潜り抜けてきた百戦錬磨の猛者だ。プロであってもまだ若い女が敵うものではない。  連日連夜に及ぶゼルベルトの女遊びは噂が噂を呼び、"女殺し"の二つ名を得るまでさして時間は掛からなかった。     
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