港町の天下無双

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 それはともかく、先立つ物がなくては何も出来はしない。  捨てる神あれば拾う神あり。そんなゼルベルトに声を掛けてくれる気のいい奴らもいる。それは港の船乗りたちだ。彼らはゼルベルトの豪快な金遣いと腕っ節の強さを知っている。なぜなら、酒場での喧嘩を何度も経験してきているからだ。険悪な仲になりそうなものだが、さっぱりと気のいい男たちはなぜか仲良くなってしまったのだ。その中には船長などもいて、俺の船に乗らねぇかなんて誘ってくれる者までいた。一応、当初の目的を完全に忘れたわけでもないようで、ゼルベルトは丁重に断っていたが。
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