港町の天下無双

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「随分としけた山だな。こんなもんしかいねぇのか」  魔獣は思った以上にたくさんいるようだが、彼がいつも狩っていたような大型の獲物は全くいない。不満には思うが、だからといって手ぶらで帰るわけにもいかず、なるべくマシな固体を選んでは軽く捻り倒していく。多頭狩りは彼の趣味ではないが、獲物が小さいのではしょうがない。辺境に比べれば魔獣は小さく強力なものではないが、それが普通なのである。辺境の環境の方が世界から見れば異常なのだ。  山にいる魔獣は小さいといっても人の腰ほどのサイズはあるし、凶悪で好戦的なのだ。しかも群れで移動する種も存在する。常識的には小型であっても一般的に脅威の度合いは高い。  初めて訪れた山をゼルベルトは物見遊山に練り歩く。実力あっての所業だが、狩人として周辺の把握に努めるのは常識でもある。 「なんだここは。こいつは危ねぇが、道になってんのかよ」     
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