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散策していると細い崖道を発見するが、彼をしても行くのを躊躇する道となっていた。どこに続いているのかは分からないが、細くて長い道には、よく見れば上からパラパラと小石が降り注いでいる。落石やがけ崩れの危険がある兆候だ。崖の下は川の流れる渓谷になっているようだが、落ちればまず助かるまい。落差がありすぎる。
無論、意味のないチャレンジなどするはずもなく、彼は引き返して狩りの続きを始めるのだった。
ゼルベルトは適当なところで狩りを終えると、あらかじめ見つけておいた沢に行き、そこで獲物の解体を済ませて血に汚れた体も洗ってしまう。
沢の冷たい水のせいか、腹に違和感を覚えた彼は茂みの中に入ると、いつものようにふんばり始めた。水浴びの途中だからして全裸の状態でだ。
「ふんぐぅっ、うくっ、あー、腹いてぇな。冷えちまったか」
鞄から取り出して持ってきた紙でゴソゴソしていると、思わぬ人の気配が近寄ってきた。全く気が付かずに誰かの接近を許すなど、緩みきっている証拠だ。辺境にいた時ではありえない。
「あ、あの、どなたかいらっしゃるのですか?」
おそらくはゼルベルトが残したままの荷物を目にして、誰かが近くにいると思ったのだろう。だが今はタイミングが悪い。見知らぬ女の声だ。ゼルベルトも隠れたままやり過ごそうと押し黙る。何しろ今しがた排出したブツがここにはあるし、しかも全裸なのだ。迂闊なことは止めた方がいい。
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