1章

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足の踏み場がないほどではないものの、部屋は見事に散らかっている。請求書やDM、資料で揃えた書籍。それらがあちこちで塔を築き、いつ崩れてもおかしくない。加えてネット通販の段ボール箱の山もやたらとスペースを取っていて、寝ぼけて踏んづけて転んだことも多々ある。 本当ならば、弟の直(なお)に部屋の掃除を頼むはずだった。 いくらかの賃金を支払い、溜まりに溜まったゴミをまとめて片付けてもらうつもりだったのに。 ――こんなことだったら、自分で片付ければ……って、それが出来たら苦労しないか。 電話を切ってからすでに5分は経過している。 せめて玄関周りだけは片付けておこう。今のままでは家事代行サービスが到着しても、中途半端に解体した段ボールに足を取られて転倒しかねない。
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