1章

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「ご依頼ありがとうございます。家事代行サービス『リリー』の伊住(いすみ)です」 きっちり1時間後にやって来たのは、海外俳優と見まごうような美貌の男だった。あまりに整った顔立ちと長身のせいか、ユニフォームだろうピンク色のエプロンすら見事に着こなしているように思えてくる。 「佐々木です。すみません、散らかってて」 廊下の両端に押しやった可燃ゴミの山の脇を通り抜け、最も散らかっている二間続きの一室へと案内する。 部屋の中央にあるテーブルとL字ソファの上は未だ手付かずのままだ。 「ここと玄関と、あとトイレと……キッチン以外は全部お願いします」 「かしこまりました」 「隣の部屋にいるので、何かあったら呼んでください」
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