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「パキッ、パキッ、パキッ」
俺はそれまで飲まずに隠していた何ヵ月分かの安定剤と眠剤を全てテーブルの上の小皿に出した。
そして飲みかけのグラスにブランデーを一杯に注ぎ足すと、それらと一緒に一気に飲み下した。
そしてベッドに横たわり静かに目を閉じた。
絵理奈、翔太、夏子、すまなかった。
俺は俺は……
お前達は……
すまない………
操
ひとみ
健太
お袋
すぐ逢いに行くぞ。
また昔みたいに楽しく暮らそうな・・・
俺のこの行動で、必ずあの世界に戻れるのかは分からない。
だけど・・・
だけど俺はあいつらにもう一度逢いたいんだ!
ほら、また あのオルゴールの音が聴こえてきた……………
.
兎追いしかの山
小鮒釣りしかの川
夢は今もめぐりて
忘れがたき故郷
ああ……
どこかで聞いた事のあるメロディだと思ってたけど……
小さい頃、よくお袋の背中で聞いた唄だったのか……
お袋……
俺、最初からお袋の子供だったんだな……
ああ……
またお袋に逢える……
操、ひとみ、健太……
もう一度お前達に逢える・・・
再び涙が溢れ出した・・・
(完)
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