本文

3/15
前へ
/15ページ
次へ
でも、彼はそれを気にした様子もなく、マイペースに過ごしているし、クラスメイトの間でもそれが定着している。 ほら、今だって、頬杖をついて、窓の外に視線を向けてしまった。 秋特有の高い青空にひつじ雲が連なり、校庭の端の方にある木々は少しずつ色づき始めている。 中野くんはそんな景色を見て、何を感じ、何を考えているのだろう。 「日南子、また中野くん見てる」 奈々に声をかけられて、我に返って正面に向き直る。 前の席に座っていた奈々が、ニヤニヤした顔でむふっと笑った。 奈々は残念な笑い方をしても、かわいらしくて、少し、ううん、本当はすごく羨ましい。 私だって、奈々みたいに背が低くて、ふわふわした雰囲気を持つかわいい女の子になりたかった。
/15ページ

最初のコメントを投稿しよう!

523人が本棚に入れています
本棚に追加