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でも、彼はそれを気にした様子もなく、マイペースに過ごしているし、クラスメイトの間でもそれが定着している。
ほら、今だって、頬杖をついて、窓の外に視線を向けてしまった。
秋特有の高い青空にひつじ雲が連なり、校庭の端の方にある木々は少しずつ色づき始めている。
中野くんはそんな景色を見て、何を感じ、何を考えているのだろう。
「日南子、また中野くん見てる」
奈々に声をかけられて、我に返って正面に向き直る。
前の席に座っていた奈々が、ニヤニヤした顔でむふっと笑った。
奈々は残念な笑い方をしても、かわいらしくて、少し、ううん、本当はすごく羨ましい。
私だって、奈々みたいに背が低くて、ふわふわした雰囲気を持つかわいい女の子になりたかった。
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