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何事にも無関心なんだろうな、という印象があったから、この行動がちぐはぐな感じがする。
「歩ける?」
払うことを止めた中野くんが不意に聞いてきたため、すぐには意味が分からなかったが、我に返って、慌てて首を横に振っていた。
そうしてから、しまった、と後悔した。
歩けないなんて言ったら、甘えようとしているみたいで笑われてしまう。
こんなに大きな女が甘えてもかわいくないということは、とっくに言われ慣れているというのに。
「いや、あの大丈夫! 少し座っていれば、ちゃんと自分で、え、何……?」
必死に否定しようとしたにも関わらず、彼はそれが聞こえていないかのように、私に背中を向けてしゃがみ直した。
「乗って」
「え、ええ!? ダメ、重いから! それに中野くんに迷惑はかけられないし」
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