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「待たされる方が迷惑。だから、早く乗って」 ちらりと振り向いて、それだけ言うと、すぐにまた前を向いてしまった。 待たせることが迷惑だと言われてしまい、かなり迷ったものの、思い切ってその背中に乗ってみる。 立ち上がれなかったらどうしよう。 でかいとか、重いって言われたらどうしよう。 そう不安に思っていたのに、中野くんは何も言わず、危なげなく立ち上がって、私を保健室まで運んでくれた。 印象よりずっと広い背中、手を置いた肩も意外と筋肉があって、初めて中野くんが男の子であることを意識してしまった。 背が高い私よりも更に視点は上にあって、それもやけにドキドキさせられた。
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