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二人同時にうなずく。顔を見合わせ、どちらが声を発するか押し付けあう。根負けしたほうが、見慣れたスポーツバッグを突き出した。
「あの、あたしら1の2の保健委員なんですけど」
「ふむふむ」
俺は腕を組み、あごに手をやった。
「七番、八番ってことになるけど、それでいいかね? 君ら」
女の子二人はともにぽかんと口を開けた。
「なんです?」
真面目な視線を返された。しかし、中途半端はいけない。
「告白に来たんでしょ。だったら、順番待ちになるから整理券配るよ」
二人は顔を見合わせ、それから同時にふきだした。甲高い声でしばらく笑いあう。
笑いが収まるのを突っ立ったまま待った。
「顔はそっくりなのに、性格は全然違う」
バッグを持ったほうが、袖で涙をぬぐいながら言った。
俺は肩をすくめ、とぼけた顔を作った。
「そうだな。本当は双子だったんだけど、あいつはとろくて、母ちゃんのお腹の中から一年以上出てこなかった」
二人はまたくすくす笑い出し、俺はズボンのポケットに手を突っこみ、再び収まるの待たなくてはならなかった。
保健委員はようやく自分の任務を思い出したようだ。
「あの、譲次君、さっきお腹が痛くなって早退したんです。カバン置いたまんま」
「それで、お兄さんにお家に持って帰ってもらおうと思って」
バッグを押しつけられる。
「えーいいよお。クラスに置いといてよ」
二人の一年生は急に強気になり、よってたかってバッグをぎゅうぎゅう押した。気安い先輩だと判断されたんだろう。
「でも、来週から中間一週間前だし」
「先生が持っていけって命令したし」
しぶしぶバッグを腕の先に引っかけた。女の子のお願いは、たいがい聞いてしまうのだ。
「わかりました。そいじゃ、預かるよ」
二人はほっとしたように顔を見合わせ、同時ににっこりした。
「でも、本当にそっくりですね」
俺はにやりと口の端を上げる。
「こうやれば、もっと似る」
ディップで固めた髪をかきむしりほぐし、気持ち七三に分けた。まくっていたブレザーの袖をもどし、シャツの第一ボタンをとめ、ネクタイをきちんとしめる。バッグを肩にかけ、眉を神経質そうにひくつかせ、いらいらと声を出した。
「お前ら、お願いだから静かにしてくれないか」
二人はしばらく口を閉じなかった。
「どう?」
一人が我に返り、親指をぐっと前に突き出した。
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