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ポン。
肩を叩かれた。
振り向くと、顔をひょっとこのようにした男子がいた。えっと、確か高木君だったかな。
それにしても変な顔。私は思わず笑ってしまった。すると高木君も笑顔になった。
「花田さんは笑顔の方がいいよ!」
高木君は無邪気にそう言った。どきんとした。
心配、してくれたのかな。
「この世の終わりのような顔してたよ?」
「うん……。判定が悪くて……」
「そっかあ。俺もなんだ。D判定」
「私も同じ……」
高木君はそっか、と複雑な笑顔になった。
「高木君は志望校、変えるととか考えたことある?」
「俺はない。どうしても今の志望校に行きたいんだ」
高木君は真っ直ぐな目をしてそう言った。
「まだ受験まで一週間切ったとかじゃないし、俺は頑張る。もっともっと勉強する」
高木君はすごいなと思った。
さっきのひょっとこの顔が嘘みたい。真剣すぎる顔にまた心臓がとくんと跳ねた。
「だから、花田さんも、一緒に頑張ろ? 大丈夫、まだ遅くないよ!」
高木君はにっと笑って私の顔を覗き込んだ。
なんだか、高木君に勇気付けられた。
「そうだね。まだ、諦めるには早いよね!」
私は笑顔になってそう返した。
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