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凸凹コンビ
JR大阪駅から徒歩20分、細い路地を入って出た先にある古いビルの二階にある探偵事務所『クロス探偵事務所』。そこには二人の優秀な探偵がいてる。一人は年齢15歳の少年ともう一人は年齢28歳の青年の二人で、この二人は実は人間ではなく吸血鬼だ。驚くのはその事実を隠していないむしろその事を商売にしていることと、吸血鬼とはほど遠くひっそり闇に潜む紳士とは違い、昼間も活動していることだ。
私はこの『クロス探偵事務所』の所長で山形 慎二といいます。今日も事務所で掃除をしてのんびり過ごそうとしていたが、そうもいかないようだ。二階『クロス探偵事務所』の扉の前に、若い女性が扉を開けようかもじもじしていると、
「どうぞ、扉に鍵はかかってませんよ。」
そう言葉が聞こえてきた瞬間、事務所の扉が自然と開いた。これは彼らが特殊能力を使ったのではなく、単に古いビルのせいで扉の立て付けが悪くなっているだけだ。
「あっ---失礼します。」
「どうぞ入って。」
私はデスクの椅子から立ち上がり、女性をソファ-に座るように言った。ソファーには甥の
龍平が座ってその女性を睨んでいた。女性は 龍平のあまりにも綺麗な顔立ちに思わず見とれていると、「じろじろ見るなやババァ!!」
「こら-!!女性に対して失礼やろ!!」
「---ふん!!」
不貞腐れたその顔さえも美しい甥は 探偵としては優秀だが性格は最悪で、叔父の私ですら手におえない時がある。今回の依頼内容は 人探しのようだ。もちろん探しものは得意なのだが、探してほしいのは人でものではない。女性はテ-ブルの上にタ-ゲットの写真を置くと、
「名前は 藤田 浩二で私の夫です。でも夫は 二年前に亡くなりました。」
「----ちょうまって?旦那は亡くなってるんやろ?探してってどういうこと?」
「失踪したのが二年前で、実は亡くなったのかもわからなくて-------。」
「でもなんで?亡くなったって------?」
「毎晩私の枕元に夫が立って、何か言いたそうにしているんです。」
「枕元に----幽霊-----?」
「-----たぶん。」
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