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弟さんは結婚した今も、美紀さんをあきらめていないようだ。俺は龍平に真紀さんを任せることにし、美紀さんの案内で弟さんの家に行くことにした。弟さんの家は JR梅田からすぐの東淀川の駅でおりた。駅から徒歩10分の集合住宅に、去年事故で両親が亡くなってから一人で住んでいるようだ。 夜間の警備の仕事のため、日中は家にいてると美紀さんが玄関ベルを押すと、中から黒淵メガネをかけた優しげな男性が出てきた。 「------------何か用事か?」 見た目とは違い俺を見た瞬間、蔑んだ目で見ると、大きくタメ息をついた男は 部屋へ招かれたが、 「いえ------ここでいいですわ。ちょっと聞きたいことがあって。」 「聞きたいこともなにも、姉さんとは去年の葬式以来会ってないし、あんたも知ってるんやろ?俺は近づいたらあかんと言われてますんで、はよ帰ってくれません------。」 美紀さんに先に自宅に帰るように言うと、俺だけが残るようにした。 「さてと、美紀さんにいてもらうといろいろ気をつかわなあかんし、野郎のあんたなら遠慮なく言えるしズバリ聞くわ、美紀さんの旦那さんの店奪ってどないするつもりやねん。」 さっきの優しげな雰囲気がスイッチで切り替えたように冷酷な歪んだ男の顔に変わると、口元を歪めてにやにやしてると、低い声で話始めた。
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