アムリタの告白(1)

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 堪らずマルコが「いいのか?それ」と掛け違えたボタンを指差せば、爆ぜる勢いで顔を赤くした。 「た、大変失礼しました!!」  人と会う時はそもそもパジャマではまずいと思うが。マルコは何も言わなかった。  開発元はあのベッキー・ベイカーだ。パジャマで済んで良かったと思っておくくらいがちょうどいい。 (しかし、なんと言うか…)    マルコは言葉を探した。 「フ、フライトはいかがでしたか?アムリタは飛行機がどうも苦手で…」  一人称を名前とし、吃り気味に話すAIとは。斬新すぎて反応に窮してしまう。もともと乏しいと言われる表情が、ますます死ぬ手応えがあった。  そろそろ本当にカメラを回しながらベッキーが種明かしにやってくるだろうが、いい絵は撮れないだろう。確実に。  この子に罪はない、と自分に言い聞かせる。  マルコは出し抜けに尋ねた。 「口の形を認識しているのか?」 「え?」 「君は映像で裏で人が声を当てているだけか?と聞いている」    アムリタと名乗った少女はあまりにも自然に会話している。これがAIだとはマルコはどうしても信じられなかった。だから、次のような仕組みで動いているのだろうと推測した。     
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