アムリタの告白(1)

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 アムリタは奇妙なまでに瞬きをしない。自分にしか見えない文字を読み上げるように、朗々と続ける。先ほどの狼狽振りが嘘のようだった。 「溜まったマイレージは何に使われますか?お使いのアメックスは半年後に有効期限が切れます。クレジットカード番号は…」 「もういい!!」  緑の瞳から逃れるようにマルコは踵を返した。  滅茶苦茶に走ったつもりだったが、本当に運良く出口を見つけることができた。 「ベッキーッ!!」  部屋に飛び込んできた黒衣の男を、のんびりとした声が迎えた。 「意外に早かったわね。アムリタはちゃんとお話しできた?」 「どう言うことだ!!」  元・猟兵部隊の剣幕もどこ吹く風だ。ベッキーはコーヒーメーカーを駆動させる。 「どうもこうも、全てが事実よ。あの子は実在する。肉体を持っている。でも、ヴォルカニックが提供するAIサービス、アムリタのコアでもある」 「神様…嘘だと言ってくれ」 「ハハハ、神父姿のあなたが言うとそれっぽいかも。映画俳優みたいよ。格好いい」 「話を逸らすな!!」  落ちたカップは割れなかった。水たまりを作っただけだ。香ばしい香りが床から上がってくる。  マルコはベッキーの目を睨み続けた。瞳の中には鬼のような形相の己が映っている。     
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