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「……なんで、ここにあたしがいるって分かったの?」
穂花は笹野の告白には返事はせずに、思わずそう問いかけた。
誰もいるはずのない神社の境内に、今日はなぜかいた笹野。その姿を見つけた時、穂花が思い出した一つの過去と、その時の気持ちがフラッシュバックして、一気に湧き上がって来たのだ。
あれは二人がまだ、小学四年生だった時のことだ。
「お前、あの時ここで一人で泣いてたろ」
そう、あれは小四の時の、夏の日の夕暮れ。
なぜかその日は女の子たちと遊ぶことになって、この神社で隠れんぼをした。穂花は女の子たちに誘われたのが嬉しくて嬉しくて、拝殿の下に隠れ、鬼が探しに来るのをずっと待っていた。辺りが暗くなるまで。ずっと。
でも、誰も見つけに来なかった。穂花は一人、境内に置いていかれたのだった。穂花はそれに気がつくと、溢れる涙を抑えきれずに、声を上げて泣いた。一人で。それは圧倒的な孤独だった。
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