3章 ふたり

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「…おふろは、おかあさんといっしょじゃなきゃいやなの」  あまりにも幼稚なことを言うもんだから「はあ? 馬っ鹿じゃねーの」と俺は一蹴した。だが、よく考えてみたらそのお母さんは達生に食事を与えなかったりした訳だから、風呂も満足に入れてやらなかったのだろう。    じゃなきゃ、こんな臭くならないか。 「最近お母さんに風呂入れてもらったかよ?」  達生はぷるぷると無言で首を横に振った。 「きったねぇー。今からシャワー浴びてこい」  またも達生は無言でぷるぷると首を振る。首を振った振動で目に乗せていた氷袋が布団に滑り落ちた。それを拾って元の位置に戻してやり、おもむろに立ち上がって台所でタオルを熱湯で蒸す。  面倒臭い、そう思いつつも垢まみれの不潔な身体で部屋に居て欲しくはない。こう見えても俺は結構潔癖症なのだ。
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