1章 人生は暇つぶし

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 一歳の頃、俺は孤児院の門前に捨てられていたらしい。それが唯一知る出生の話。  孤児院出身ってのはこの世知辛い世の中で生きてくことはなかなか容易じゃない。まず身元引受人がいないから職にあり付くのだって一苦労。  孤児院の仲間達は夢を見てそれぞれ出て行ったけど、皆それなりに身分に合った職に就いている。ボクサーで世界一になるって意気込んでいた先輩は網膜剥離になってプロ生命を絶たれ今じゃ立派なヤクザ者。  院で一番可愛かった女子はどっかで風俗嬢。しかも当時の院の奴らも客引きされている様子。勿論俺も誘いは受けたが女は趣味じゃないから断った。  ま、それぞれに身分相応という職に堕ちた訳。
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