4章 黒い目

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 次の日からは達生の両目は腫れも引き工場へ通えるようになった。  工場に行くと相変わらず福澤先生にべったりだったけれど、ヒステリックになって泣きじゃくる事はめっきり減り。それを福澤先生は大変喜んでいて、なぜか俺にお礼を言ってくるけど、俺は何もした覚えはない。むしろ邪険に扱っているのは変わらないから、そろそろ達生もめげてきていい時期なのだけど。  本人は無自覚に俺への免疫がついてきた様子だ。  達生は一人で工場から帰らせると必ず迷子になるから俺が仕事を上がるまで医務室に預けておいて、二人で帰路につくことが定番になっている。その帰り道で今晩のおかずを買ったり、通帳の残高に頭痛を覚えたり、順調とは言いがたいがそれでも何とかいっていた。  今日もまた定番通りに近所のスーパーへと立ち寄り、必要な食材を買う。  俺がレジで買っている間に達生が姿を消してしまう。だが、俺は達生の居そうな場所は検討がつく。
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