4章 黒い目

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 根底から覆されてしまうような恐怖。 (……………潮時だな)  頭だけで呟いて、しっかりと腰に回された達生の腕を退かす。  一緒に過せば過すほど、こいつは俺の中で肥大してゆく。当たり前のように気づけば側に居て、つまらない喧嘩をして、いつしか習慣になってしまう。  無邪気に寄り付いてくる達生と肌を合わせてはいけない。達生を受け入れた身体の芯が疼くようで己の肩を抱き、爪を立てた。  俺はお前とは違う。  俺は一人で生きて行ける――――――。
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