猫を探しに

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猫を探しに

 土曜日の朝、飼っている猫が逃げだした。私が窓を開けて、うっすらと積もっている雪に目を奪われているスキに、猫は足元をすり抜けて外へ出て行ってしまったのだ。私はすぐに追いかけたが、猫はもうどこにもいなかった。  夫は私がパジャマに素足のまま庭に出ているのに気付いて驚いていた。私が涙でぐちゃぐちゃになりながら猫が逃げだしたことを話すと、仕事から帰ってきたら一緒に探してやるから、あまり無理するなと言って家を後にした。  夫が出て行った後、私は着替えて外に出ると、あてもなく猫を探し始めた。しばらく近所の家や公園を探していたが、あまりにも寒かったので家に戻ってまた着替えた。ヒートテックを二枚着て、ダウンベストとダウンコートを重ね着ぎして、再び家を出た。幸い雪は止んでいたが、たくさん着こんだというのに身体はまだ冷え切っていて寒い。でもこの冷えは寒さからきているわけではなく、猫が見つからなかったらどうしようという恐怖心から来るもののようだった。  私は猫を探しながら、この恐怖心から来る冷えを前にも感じたことがあることを思い出した。  ちょうど今くらいの季節、二年前に母親が病気で入院した時にも、同じ冷えを感じたことがある。
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