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「言われてみれば」
男は夜の街を歩いた。
折り畳み傘でも手にしていないかと女性を一人一人確認した。
雨なら分かるが、こんな日に荷物になるような物をわざわざ持ち運ぶなんて人はいない。
男は一度休憩がてらに立ち飲み屋に入り、一杯ひっかけた。
「どうせ売れない占い師だ。当てにしたのが悪かった」
大人しく帰って寝ようと思い、店を出た時に傘を持っている女性が目の前を通り過ぎて行った。
美しく上品さが漂う。
一瞬声を掛けようと思ったが、はてなんて言えばいいのか。
不審者に間違われるのがオチだろう。
男はとにかく女性を見逃さないようにと、尾行した。
どこかで声を掛けるタイミングをと思った時、女性はビルの地下に降りて行った。
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