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こっそりと彼の様子をうかがう。伏せられた瞼はぴくりともしない。
(……きれいな横顔だなぁ。鼻筋が高いし、顎のラインもシャープで……。あ、結構まつげ長いんだ。唇のかたちも……)
モデルのような顔立ちに目を奪われていると、彼の唇が動いた。
「なんか、用……?」
「!!」
眠っていたはずなのに、いつから気づいていたのだろう。
静かに開かれた切れ長の瞳が、僕をとらえる。その目から感情は読み取れなかった。端正な顔立ちで無表情は怖い。まるでアンドロイドだ。寝顔をじろじろ見ていたから、怒っているのかもしれない。サッと血の気がひく感覚に襲われ、僕は頭を下げた。
「すっ、すす、すみません! いいえ、用事は特になくて! あの、その、ごめんなさい!」
平謝りする僕に、彼は眠たそうなテンポで喋った。
「そんな、慌てなくても……。顔、上げて……」
ゆったりとした、低く穏やかな声音には、若干の笑みが含まれているように感じた。
促されて、僕はおそるおそる前を向く。
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