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――想像してみよう。
店内のライトは光度をおさえた暖色系で目に優しく、耳を澄ますとゆったりとしたオルゴールのBGMが流れている。バランスよく配置された観葉植物は気持ちを和ませるだろう。カフェスペースでお茶を楽しんだあとは、おひるねルームへ。もちろん個室だ。適度に照明を落としてある室内。ベッドサイドにはアロマディフューザーが置かれ、ラベンダーの香りが心地よい眠りの世界へと誘う。もちろんアイピローや抱き枕も借りられる。まさに癒しの空間だ。
自分が思い描く理想の『おひるねカフェ』を妄想していると、頬がゆるんだ。
僕は眠ることが好きだ。できることなら、休日は外出せずに、毛布にくるまってひたすら惰眠を貪りたい。だから、彼の質問には当然こう答えた。
「はい、大好きです!」
「じゃあ、来て」
間髪入れずに、彼――北川さんは僕を誘った。立ち上がり、僕の腕を引っ張る。もちろんまだ電車は動いているので、遠心力で身体が不安定に揺れた。
「わあ! ちょ、ちょっと待ってください。危ないですって、まだ駅じゃない……っ。というか、どこへ――」
「あんた、名前は?」
僕の質問に答えて、という抗議は一瞬にしてかき消された。
さきほどまで無表情を貫いていた彼が、瞳を輝かせて笑っていたのだから。
「……ハル。江波、真春……」
つるりと口から出た自己紹介に、彼はうなずいた。
「ハル、おれといっしょに寝ようよ!」
《続く……??》
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