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「吉田に頼まれたのか?」
「お、俺はただ吉田さんに此処にいろと……」
吉田松陰はもう死んでいる。
ならば残る吉田とは誰だ?
「長州ものか?」
「俺は雇われだ!」
私は舌打ちをした。
足がつかないようにしている。
これではまともな情報は手に入らない。
「そうか。ご苦労」
私は首を掻っ切った。
山崎に頼んだ意味もなかったな。
「なんや、殺してしもたんか」
「ああ。浪人ばかりで話にならない」
山崎が縄やら何やら持ってきていた。
全部無駄となってしまったが。
「山崎、吉田は知っているか?」
「何処の吉田やねん」
「長州、薩摩、土佐のどれかだろう」
「なら吉田稔麿ちゃう?」
吉田稔麿……
山崎からその後、話を聞いた。
長州のキレ者だということ、そしてこの京に出入りしていること。
まだまだ長州贔屓な京では過ごしやすい筈だ。
簡単に言いくるめ、協力させることくらい容易だ。
むしろ、新撰組にとっては生きにくい。
「そうか。死体処理、頼んだ」
私は副長のもとに戻った。
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