第一章

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「吉田に頼まれたのか?」 「お、俺はただ吉田さんに此処にいろと……」 吉田松陰はもう死んでいる。 ならば残る吉田とは誰だ? 「長州ものか?」 「俺は雇われだ!」 私は舌打ちをした。 足がつかないようにしている。 これではまともな情報は手に入らない。 「そうか。ご苦労」 私は首を掻っ切った。 山崎に頼んだ意味もなかったな。 「なんや、殺してしもたんか」 「ああ。浪人ばかりで話にならない」 山崎が縄やら何やら持ってきていた。 全部無駄となってしまったが。 「山崎、吉田は知っているか?」 「何処の吉田やねん」 「長州、薩摩、土佐のどれかだろう」 「なら吉田稔麿ちゃう?」 吉田稔麿…… 山崎からその後、話を聞いた。 長州のキレ者だということ、そしてこの京に出入りしていること。 まだまだ長州贔屓な京では過ごしやすい筈だ。 簡単に言いくるめ、協力させることくらい容易だ。 むしろ、新撰組にとっては生きにくい。 「そうか。死体処理、頼んだ」 私は副長のもとに戻った。
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