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「お前なぁ……。狙われてるって分かっててどうしてそう……」
「不穏な芽は早めに摘むべきかと」
帰ったら説教を受けた。
副長はいつまでも私が女だということを忘れない。
そして、辞められるもんならこんな仕事辞めろといつも言う。
でも、私はこれしか生き方は知らない。
「だったら山崎と二人で行くべきだっただろう」
「私が狙われているのが分かったので」
副長はため息と共に紫煙を吐き出した。
私は死んだって構わない。
あってないような命だから。
ただ、貴方に私は救われた。
その恩は一生かけても返すことができるかどうかのもの。
だから、貴方の為に死ねと言われれば喜んで死にましょう。
貴方の身代わりになるくらい簡単なものだ。
「副長がなんと言おうと私は辞めません。そして、貴方の命令がなくとも、動きます」
私はそう告げて部屋を出た。
渡り廊下を歩いていると斎藤一に会った。
「また人を斬ったのか」
「悪いか?私が狙いだったんだ。仕方ないだろう」
そういうと斎藤は私の横を通り過ぎていった。
無口で無表情、何を考えているかわからない場面もある。
それはきっと私も同じだ。
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