第一章

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気がつけばもう朝日が昇っていた。 総司と稽古だったか…… 私は道場に向かった。 「遅いですよ!」 珍しい。 あの朝の弱い総司が私より早くに道場にいる。 雨でも降るのだろうか。 「楽しみにしてたんですから!」 「分かったから」 総司に竹刀を渡された。 私は受け取り、上から下に振り下ろした。 久し振りに握る竹刀。 しっくりはこないが、負けたくはない。 「行きますね」 私は頷いた。 総司が一歩前に出た瞬間、私は後ろに飛び退いた。 だが、それを総司が逃す筈もなく、追いかけるように向かってきた。 乾いた音が道場に響いた。 「流石ですね」 「これくらい当たり前」 ただ総司の攻撃を防いだだけだ。 私はしばらく防戦一方だった。 飛び退いては防ぎ、かわしては防いでいた。 「攻撃してこないんですか!」 「うるさい」 攻撃しない訳じゃない。 ただ見ているだけ。 「まだまだ甘いな」 総司が突きを出した時だった。 私は体を捻って避け、総司の懐に潜り込んだ。 そして、竹刀を首に突きつけた。 「お前の負けだ」
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