第一章

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「また負けたー……。紅さんには敵わないです」 「負けられない。誰がお前に教えたと思ってる」 「近藤さんも見てくれましたけど、稽古つけてくれたのは紅さんでしたね」 そう。 総司は私の弟子のようなもの。 師匠は弟子に負けられない。 「久し振りに見たよ、総司と紅の試合」 「相変わらずだなぁ」 新八と左之が見にきていた。 この二人に気付かないほど真剣にやっていたとは…… 情けない。 敵だった場合、私はやられていた。 「平助は?」 「まだ寝てる」 「勿体ないよねぇ。じゃあ、紅俺ともやろう」 総司に代わり、新八になった。 新八は総司とは違い、努力家だ。 総司は天才肌。 その努力を侮ってはいけない。 「来い」 そうして、私は新八とも試合をし、左之ともやった。 すると、気配を消していたのか、あまり気付かなかったが斎藤とも連続で試合をした。 「ハァハァ……」 「なんで、お前息切れしないの……」 「この程度で息が切れるものか」 私は最低限の動きしかしていない。 無駄に動いたところで疲れるだけだ。 「情けない。朝ごはんでも食べて来い」 「紅さんは?」 「私は寝る」 竹刀を総司に返し、私はまた医務室の隅で寝た。
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