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「また負けたー……。紅さんには敵わないです」
「負けられない。誰がお前に教えたと思ってる」
「近藤さんも見てくれましたけど、稽古つけてくれたのは紅さんでしたね」
そう。
総司は私の弟子のようなもの。
師匠は弟子に負けられない。
「久し振りに見たよ、総司と紅の試合」
「相変わらずだなぁ」
新八と左之が見にきていた。
この二人に気付かないほど真剣にやっていたとは……
情けない。
敵だった場合、私はやられていた。
「平助は?」
「まだ寝てる」
「勿体ないよねぇ。じゃあ、紅俺ともやろう」
総司に代わり、新八になった。
新八は総司とは違い、努力家だ。
総司は天才肌。
その努力を侮ってはいけない。
「来い」
そうして、私は新八とも試合をし、左之ともやった。
すると、気配を消していたのか、あまり気付かなかったが斎藤とも連続で試合をした。
「ハァハァ……」
「なんで、お前息切れしないの……」
「この程度で息が切れるものか」
私は最低限の動きしかしていない。
無駄に動いたところで疲れるだけだ。
「情けない。朝ごはんでも食べて来い」
「紅さんは?」
「私は寝る」
竹刀を総司に返し、私はまた医務室の隅で寝た。
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