第一章

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目が覚めた時には辺りは暗かった。 「やっと起きたんか。珍しく寝とったな」 「……いたのか」 「いるで!?そーいや、副長が呼んどるわ」 私は背伸びをしてから部屋を出て副長のもとに向かった。 「ご用はなんでしょう?」 「おう。琴に返事書いてやれ」 「お琴に?どうして私が……」 副長に文を渡された。 それには私の近況が知りたいとのことが書かれていた。 お琴は副長の許嫁だ。 副長の帰りを日野で待っている。 『紅ちゃん、土方様のことをお願いね』 そう言われたのを思い出した。 可愛らしく笑う女の子だった。 健気に待っていることだろう。 「女の人からの文が絶えませんって書いて差し上げましょうか?」 「やめろ、馬鹿。俺は返事書いてねぇだろうが!」 クスクスと笑いながら私は筆を進めた。 お琴へ 私は元気です。お琴も元気そうで何より。 副長だけでなく、みんなも相変わらず元気です。 別にこれといって変わったことはないです。 ただそっちにはいつ帰ることができるかは私にはわかりません。その辺は副長に。 私のことなど気にかけないで下さい。 いていないような存在です。 副長は守ります。 命に代えても。 紅
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