第一章

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「もうちょっと気の利いた言葉くらい書いとけよ」 「……何覗いてるんですか。副長じゃないのでそんな気の利いたことは言えません」 「おい、てめぇ……どういう意味だ!」 私は副長に文を託して部屋をさっさと出た。 お琴はいつもそう。 私のことを気にする。 昔に私が血だらけで帰ってきた時もそう。 顔を真っ青にしながらも私のことを心配してきた。 全て、返り血だというのに。 人が良すぎる。 もう私のことなど忘れてしまえばいいのに。 「紅さん、寝ないんですか?」 眠そうにしながら歩いてくる総司。 総司は私がいつ寝ているか知らない。 「私はまだやることがある」 「そうですか。おやすみなさい」 別にやることなんてない。 私は必要とされなければその身を隠すだけ。 「紅さん、またやりましょう。次こそは負けません」 くるりと振り返って笑う総司。 私はフッと笑った。 「次も総司が負けるぞ」 まだまだ負けない。 私には守らなければならない人がいる。 その人の為に私は負けられない。
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