第一章

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「戻るか、此処で私に殺されるか。どちらがいい?」 「どちらにしろ殺されるなら此処で死ぬ!心中する!」 「そうか」 私はつきつけていたクナイを一文字に切った。 早川は血を吹き出しながらその場に倒れた。 それを見ていた女は顔面蒼白となっていた。 「お前も死ぬか?心中するか?」 「い、いや……!まだ死にとぉない……!」 「ならばこのことは他言無用だ。誰に少しでも話せば私はお前も殺す」 女はコクコクと何度も頷いた。 私がクナイを離すと女はその場に崩れ落ちた。 所詮、こんなもんだ。 くだらない。 こんなものの為にこいつは命を落とした。 馬鹿馬鹿しい。 私は早川の死体を騒ぎにならないよう処分した。 そして、副長に報告する為に屯所へと戻った。 「副長、終わりました」 「おう。あいつと一緒にいないところを見ると拒んだな」 「はい。駆け落ちする為でした」 私は簡単に報告し、その場を去った。 新撰組を脱走する者は多々いる。 その理由は様々だが、女との駆け落ちが何かと多い。 だが、鉄の掟がそれを許さない。 『局中法度』 これが存在する限り。
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