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「流石、紅だよねぇ~。みんなの視線奪っちゃってさー」
「美人だもん!」
別にどうでもいい。
私は特に周りを見回すこともなくただ真っ直ぐ見て歩き続けた。
「で、何するの?」
「お団子食べようぜ!この間、総司が言ってたところがあるから間違いねぇって!」
私を誘ったものの、大して何も考えていなかったらしい。
甘味処に入ってみることにした。
ただ、私は視線を感じた。
見て見ぬフリをして一緒に甘味処に入った。
「紅、何食べる?」
「……団子」
「じゃあ俺は餡蜜ね。支払いは平助よろしく」
「はぁ!?新八さんの分は払わねぇって!」
ギャーギャー言いながら揉める二人。
すると、視線が消えた。
私は視線のしていた方を見ると男が立ち上がって何処かに行こうとしていた。
町の人の視線とはまた違う。
「平助、新八、ちょっと出る」
「え、ちょ、紅!?」
私は立ち上がり、男を追った。
「僕に用かな?」
急に振り向かれた。
笠を深く被っており、顔までは分からない。
「お前こそ私に何の用だ」
「僕の熱い視線、気付いてくれたんだね」
ゾッと寒気がする。
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