103人が本棚に入れています
本棚に追加
「お前は誰だ」
「栄太郎とでも言っておこうかな」
栄太郎……
そんな名前は聞いたことがない。
だが、あっちは明らかに私のことを知っているような素振りだ。
「新撰組なんかにいないで僕のところにおいでよ、紅」
私の名前まで知っている。
どういうことだ……
「悪いが、お前には興味がない」
「だよね。君さ、何処の忍?伊賀?甲賀?」
「私は集団に属さない」
足に巻いていた道具に手をかけた。
「そんな綺麗な足見せないでよ。今日は別に戦いに来たわけじゃないし。またね」
「私が逃すとでも思ったか?」
クナイを投げると栄太郎はすぐさま抜刀し、弾いた。
そして、何事もなかったかのように刀を納め、帰っていった。
深くは追わなかった。
また何処かで必ず接触してくると思ったからだ。
私はクナイを拾い、二人の元へ戻った。
「何処行ってたの?」
「気になることあって」
私はパクパクと団子を勢いよく食べた。
「平助、ご馳走さま。やる事が出来たから帰る」
私は急いで屯所に戻った。
医務室で着物を脱ぎ捨て、いつも着ている装束に着替えた。
「まぁた脱ぎ散らかして!」
「……頼んだ」
私は日が沈むのを待ってから屯所を出た。
最初のコメントを投稿しよう!