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するりとはだけられた衣から、和彰の白い肌が徐々にあらわになり、咲耶の目を奪う。
ほのかな灯りに映しだされる、肩と鎖骨。ほどよくついた筋肉がうかがえる二の腕と胸板。
(っていうか、女の私より色っぽい脱ぎ方やめてよ……)
和彰と『親密』になったとはいえ、理性が全面に出ている状態では正視しづらかった。咲耶は、やや視線を外す。
“契りの儀”のときは、まだ幼獣だったためか、すぐに戻る体勢になっていたが、いまの和彰は、そこでようやく自らを抱くように身を震わせる。
──まるで、咲耶の視界がゆがんだかのように感じさせて、現れる、白い虎の“神獣”。
室内に姿を現した優美な獣は、肢体の重さを感じさせる足取りで咲耶に近づいてきた。
がっしりとした前足をそろえ、後ろ足を縮ませる。しなう鞭のような尾が、身体に添った。
薄明かりでも、そこだけ輝くような白い毛並みに映える、薄い黒の縞模様。
冴え冴えとした青い瞳が、咲耶をまっすぐに見つめる。咲耶の内側で響く声と共に。
『これで良いか』
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