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「そうですね……。
わたしも、直接お会いしたことはないのですが、セキ様の“花子”であるお菊さんから聞いた話からすれば、姫さまの害になるようなことは、ないかと思われます」
椿によると、“花子”というのは“神獣”と、その“花嫁”の世話をする者をいうらしい。
ちなみに、魚類の『穴子』と同じ発音をしている。
自分と同じく【ここではない何処か】から、喚ばれてしまった“花嫁”。
咲耶にとっては、いわば【先輩】にあたる人物が、屋敷に招きたいと言ってくれているのだ。
できるなら、会って、話をしてみたい。
「じゃあ、今日これから会ってみたい! ……なんていうのは、ムリかな、やっぱり」
冗談半分に咲耶が言うと、椿は手もとの文を一瞥した。
「あちら様は、姫さまのご都合がよろしければ本日でも構わないとも、おっしゃっておられますが」
「そうなの?」
「はい。───では、そのように、使者どのにお伝えいたしますか?」
軽い驚きも束の間、椿が言いつないだひとことに、もう一度、咲耶は驚かされた。
「え……えっ? 使者どのって……ひょっとして、いま現在、私の返事を待ってる人がいるの?」
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